投資信託は、元本割れが生じることもある金融商品です。
投資家は、投資信託で収益を上げることもできますが、逆に損をすることもあります。
では、同じような投資ができる金融商品である株式投資や債券投資とはどこが違うのでしょうか。
投資信託での投資
投資信託は、投資家から資産を集め、それを一つにまとめて運用会社が投資・運用をして収益を上げることを目指したものになります。
投資家は、毎日の基準価格で投資信託を購入することができます。
そしてこの基準価格は日々変動します。
ですので、投資家は、買った投資信託の基準価格が購入時より売却時に上がっていれば収益が出ることになり、逆に購入時よりもこの基準価格が下がっていれば、損失が出ます。
日々価格が変動し、安く買って、高く売れば儲かり、逆に高く買って、安く売れば損失が出るというのは、株式投資も同じですね。
このあたりは投資信託による投資と、株式投資と非常に似ているようですが、どこがどう違うのでしょうか。
「ほんとだ、価格が上がったり下がったりするのだったら、株式投資と似ているね」
株式投資とは
株式投資は、証券会社で企業が発行する株式を購入し、利益を得ることを目的としたものです。
株式投資で得られる利益には、3つあります。
一つは値上がり益です。
株価は毎日変動しますので、買ったときの値段より売ったときの値段が高ければ、その差分が利益となります。
多くの投資家は、株価の値段が安い時に購入し、値段が高くなれば売るということを目指して株式投資をしています。
値段が安い時に買い、高くなれば売る投資手法のことをうねり取りと言ったりもしますが、最もポピュラーで、多くの方がしている投資手法となります。
「投資というと一番イメージする手法だよね」
二つ目の利益は、株主優待というものがあります。
株主優待とは、企業が株主を優待する制度で、株主優待制度のある企業の株主になった場合、その企業の独自の商品やサービス、あるいは割引などの特典が受けられるというものになります。
この商品やサービス、割引などは、それぞれの企業によって違います。
この株主優待制度をより良いものにして、株主を集める企業も増えていますし、この株主優待を目的に株式を購入する投資家も増えています。
「株主優待が欲しいために株式を保有している人をぼくも知っているよ」
三つ目の利益は、配当金となります。
株式は、民間企業が発行する証券となりますので、その企業が利益を上げると、その一部を株主に分配するという制度があります。
そもそも株式会社というのは、投資家から資金を集め、それをもとに事業を行い、それによって出た収益を投資家に分配するという制度として作られました。
ですので、株主に配当金が出るというのが本来の主旨なのです。
「本来は配当金を目的に株式を保有していたんだね」
株式投資は、これらの3つの利益をどのように組み合わせるかを考えながら、収益が出ることを目出したものになります。
もちろん投資ですから、目論見違いによって、損失を出してしまうこともあります。
「株式投資では、いろいろと考えるべきことがあるんだね」
債券投資とは
債券は、国や地方公共団体、あるいは会社などが発行する有価証券のことになります。
基本的には、債券はお金を借りるために発行するものになります。
国や地方公共団体が財政に困っていたりしたときに、あるいは会社が資金繰りに困っているときに、お金を借りたいと思ったとします。
そんなとき、債券を発行することで、それを購入した人からお金を借りることができるのです。
ですので、一般の投資家が、この債券を購入したということは、国や地方公共団体や会社にお金を貸したということと同じなのです。
債券は株式投資と違って、投資というよりお金を貸すという性質が強いものになります。
お金を貸しているのですから、期限が来れば、お金が戻ってきますし、利子もつきます。
そういう意味では、株式と比べると安全面が高い投資商品となります。
「債券は国や地方公共団体にお金を貸しているということになるんだね」
投資信託と株式投資と債券投資の違い
投資信託は、投資家から資産を集め、それを株式や債券に投資して利益を上げることを目出しています。
ですので、結局は投資する商品は株式であったり債券であったりします。
もちろん投資信託にはいろいろな商品がありますので、運用される投資先はバラバラです。
債券が多く含まれていて、安全性を重視した投資信託もあれば、株式を多くして収益をより多くとっていくことを目指した投資信託もあります。
じゃあ、個別に株式を購入して投資するのと、投資信託を購入するのとでは何が違うのでしょうか。
同じ株式を購入するのだったら同じではないでしょうか。
「投資信託がもし株式に投資するんだったら結局はその株式を買っているのと同じことだもんね」
投資信託が通常の株式投資と違うところは、少額な資金で多数の株式を買えるというところにあります。
この多数の株式を買うことを分散投資といいます。
投資信託は、投資家から資金を集めて、その資金を運用・投資していくものになります。
たとえば、個人が株式を購入しようと思うと、資金力に限りがありますので、買える銘柄や、その数もおのずと限られてきます。
ですが、投資信託は大きくお金を集めますので、たくさんの銘柄に投資することができます。
分散投資する一番のメリットは、リスクを減らすことができるところにあります。
株式投資で一つの銘柄に投資していますと、その銘柄の値段が下がるだけで、損失が出てしまいます。
これを10の銘柄に投資していますと一つの銘柄の値段が下がっても、他が下がらなければ損失は少なくてすみます。
あるいは値段が上がる銘柄もありますので、損失が相殺されることもあります。
分散投資は数が多いほどそのリスクを少なくすることができます。
ですが、個人の資金力で分散投資するのはとても難しい話になってきます。
投資信託は、たくさんの投資家からお金を集め、大きなお金で投資を行いますので、この分散投資ができるようになり、リスクを減らすことができる商品になっているのです。
「たしかに個人だと買える銘柄数は限られるよね」
もう一つ株式投資と投資信託での投資との違いは、株式投資はあくまでも個人が勉強してどの株式を購入するかを判断しなければならないのに対して、投資信託は、運用会社にいる専門家がその判断をしているというところにあります。
投資は、損失も出る商品ですので、投資先は慎重に選ばなければなりません。
個人で株式投資をしようと思うと、これから値上がりする会社を見極める必要があります。
またそれにともなってたくさんのことを勉強する必要もあったりします。
これはとても大変なことですし、投資の初心者にはとてもハードルが高い行為となってしまいます。
投資信託は、投資の専門家がどの投資先に投資するかを判断するものとなりますので、この点では、初心者にも手を出しやすい商品になってくるのですね。
「たしかに株式投資は初心者にはむずかしそうだよね」
ただし、投資信託は、それこそたくさんの種類がありますので、まずはこの中かからどれにするかを選ぶ必要もあります。
そのためには、どのような投資信託があり、どういった主旨や目的をもったものなのか、リスクや収益に対してどのようなスタンスを取っているのか、そのあたりを見極める必要があります。
そういう意味でも投資信託でもいろいろと勉強する必要があるのですね。
「やっぱり最後は自分にあった投資信託を選びたいものね」