副業分野―新しい副業を切り開くCtoCビジネスとは?

アメリカのビジネスにおける当事者の関係を示す用語で、Business(事業者)とConsumer(消費者)の関係を頭文字のBとCで示したものがあります。前が取引の送り手、後が受け手です。BtoBビジネスは事業者間の取引を、BtoCビジネスは通常の事業者と消費者間の取引を、そして、CtoCビジネスは消費者間の取引を意味します。個人の消費者同士のビジネス形態です。このCtoCビジネスが従来の日本にはなかった新しいビジネスモデルを生み出し副業分野でも定着してきました。CtoCビジネスの副業分野にどのようなものがあるのかビジネスモデルから見てみましょう。

1.CtoCのビジネスモデル 

欧米特にアメリカで盛んなCtoCビジネスですが、日本では消費者個人間の取引を行うにあたって法律の壁があり、まだ十分進んでいるとは言えません。多くは既存事業者の権益を守る部分が法律において定められていたり、一般個人間の取引のルールの基準が行政において未確定なためです。

最近話題の民泊ですが、一般個人が有料で継続的に自宅や民家を貸すことは旅館業法で旅館業の登録が必要となり部屋数、部屋面積、設備関係でかなりハードルが高くなります。しかし、外国人観光客の増大により宿泊施設の不足が著しくなり、また、CtoCビジネスモデルのAirbnbなどの海外の民泊紹介サービスが拡大普及し、実態に法律が追いつかない状況になり民泊新法が生まれました。

CtoCのビジネスの確立した分野では、モノ、サービス、スペース、移動、お金に関する5つの分野があります。いずれもビジネスモデルを確立した決め手はインターネットです。インターネットにより個別に散在した個人のマッチングが可能になりました。CtoCの取引ですが実際にはインターネットにより仲介するWEBサイト運営事業者が存在するCtoBtoCの形態になっています。

2.モノの販売・レンタルに関するCtoCビジネス「フリーマーケット、オークションなど」

個人が使わなくなったもの、いらないものをインターネットのシステムを介して出品し、欲しい人が買うマッチングシステムがあります。フリーマーケット、オークションです。フリーマーケットは出品者が価格を定め、オークションは入札と落札により価格が変動します。モノの分野は、ファッション、ブランド品、家電、自動車などほとんどすべての日常品が該当し販売されています。

モノの販売に関するCtoC仲介サイトでは、フリーマーケットのメルカリ、Rakutenなどがあります。オークションでは、ヤフオク、モバオクなどがあります。

レンタルではファッションに関するものがあります。

airCloset(エアークローゼット)

ファッションレンタルサービスで月額利用料制です。ライトコースは月1回(3着)¥6,800でスタイリストが服を選ぶサービス、返却期限なし、クリーニング込みが特徴です。

https://www.air-closet.com/

3.サービスに関するCtoCビジネス「スキル、知識、作業、人間関係サポートなどの提供」

オンライン上でサービスの提供が完結する分野と、インターネットでマッチングしオフライン(リアル)でサービスを提供する分野があります。

オンラインのコミュニケーション形態では、メール、電話、ビデオチャット(テレビ電話)などです。

サービスの提供分野では、

・相談・指導系(育児、教育、介護、結婚、離婚、相続、ビジネスなど困った時の相談、アドバイス及び教育・コンサルティングなどの指導など)

・制作系(システム・プログラム、WEBサイト、WEBデザイン、ライティング、写真、動画、イラスト、音声などの制作)

・事務作業系(パソコン入力、文書作成、ネットショップ商品登録、録音テープ起こし、経理など)などがあります。

オンラインのサービス仲介サイトでは、coconala(ココナラ)などがあります。

オフライン(リアル)でサービスを提供するものでは、対面の各種サービスや同行や付添い、各種作業の提供などがあります。仲介サイトでは、タイムチケットなどがあります。

4.スペースに関するCtoCビジネス「シェアハウス、シェアルーム、民泊など」

住宅、部屋、駐車場、店舗、会議室などのスペースの空いている時間を有効活用し、所有者が貸したり利用者が共同利用するものです。

Airbnb(エアービーアンドビー)

世界最大の民泊仲介サイト

https://ja.airbnb.com/

スペースマーケット

登録されたスペースを借りたい人は1時間単位で会議、イベントなどに使えます。

https://www.spacemarket.com/

エクボクローク

店舗の空きスペースを活用した荷物預かりのサービスです。スマホから事前にまた当日に予約可能です。コインロッカー代わりに使えます。

https://cloak.ecbo.io/ja

5.移動に関するCtoCビジネス「カーシェアリング、ライドシェア(相乗り)など」

ライドシェア(相乗り)サービスで有名なのがUber(ウーバー)です。日本ではタクシー業界との関係から白タク行為は禁止されています。しかし、海外ではタクシーの代わりにUberを使うのが普及しています。日本ではライドシェアが認められていないため、Uberはタクシーの配車サービスを広げる方針で4社と提携し現状の中での新形態を目指しています。また、使っていない時間の自動車を提供するカーシェアリングも普及してきました。

Anyca(エニカ)

一般の車のオーナーが登録した車をユーザーが自由に時間単位に借りられるサービスで、幅広いバリエーションの車を自由に選べます。

https://anyca.net/beginner

6.お金に関するCtoCビジネス「クラウドファンディング、クラウドレンディング」

個人の事業提案などに共鳴した個人の寄付や貸付、投資などお金に関するサービスや、個人間のお金の貸し借りなどのサービスがあります。

クラウドファンディングとは、不特定多数の個人が他の個人や組織に資金提供などを行うことを指すもので、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語です。クラウドファンディングには資金提供のリターンに関して、購入型、寄付型、投資型の3種類があります。購入型とは事業提案者が提供する物品やサービスなどを購入する形態のもの、寄付型とは寄付で金銭、物品のリターンがない形態のもの、投資型とは金銭リターンがある形態のものです。

クラウドレンディングとは、個人と個人が資金の貸し借りを行う形態で欧米で見られるものです。借り入れを行う人の過去の返済実績や収入金額や資産額等から、借り入れの金利が決められ、その金利で貸付を行う人を募集するなどの方法があります。日本ではmaneoが2008年にソーシャルレンディング事業をインターネットを利用した個人間融資サービスとして行いましたが、その後返済の延滞や返済不能案件の発生により撤退した例があります。

まとめ

CtoCビジネスは個人間取引のため、氏名、住所、メールアドレス、電話番号を公開したくないという人のプライバシー保護の問題もあります。仲介サイトが成立するのもこの部分のニーズの反映です。直接個人間だけでは不安があるからです。仲介サイトの役割はその他、決済処理があります。購入者の支払いが確実に行われるようなシステムが必要です。モノの場合はクレジットを始めとした各種のものがありますが、サービスなど無形のものの場合は仲介サイト会社へのエスクロー(仮払)などの保全策が必要になってきます。

取り引きの安全性確保では、サービスをオンラインに限定しているcoconalaなどもあります。リアルの場での知らない人が出会うマッチングシステムの場合は、仲介サイトが立ち会うわけでもなく、当事者任せの問題になり一定のリスクが残ります。民泊でも無届けのものがあるなど運営上の問題は多々残りますが利用者の安全・安心に配慮したきめ細かい仕組みの整備が今後も継続して必要と思えます。

CtoCビジネスはこれからも多様な形態のものが生まれてくる可能性があります。副業でCtoCビジネスを考える方は既存の各種のサービスをやってみた上で、新たなサービスを自分で企画開発することも可能なのではないでしょうか。