ライフサイクルから見た副収入の必要な時期

自分のライフサイクルにおける結婚や子どもの誕生、および、それに関連した住宅取得費や子どもの教育費などの生活面から、収入と支出のバランスで厳しい時期があります。この時期を乗り越える方法では、何よりも収入を上げる必要があります。収入をあげる点では、自分自身の副業・副収入対策と配偶者の仕事の対策があります。副業・副収入対策、預貯金準備などは人生設計でも重要です。

1.ライフサイクルによる人生設計

ライフサイクルでは特に結婚、子どもの誕生との関連での家庭生活の収入面がカギになります。各人の置かれた現状とその後想定されるライフサイクルを考えてみましょう。

①独身期

独身期は収入では通常困ることはありません。自分が食べていける分だけ収入があればその日は良いのですが、明日を考えるとそれではいけません。現在の自分の年齢、収入と今後の見込み(正社員か否かなども含めて検討します)、結婚の希望年齢、結婚したら子供は何人欲しいかなどを想定します。結婚する気があるならば独身期はお金が貯められる時期ですので、結婚資金、将来の住宅資金などを貯めることが重要です。

②結婚後の夫婦共働き期(子どもなし)

結婚前の職場に夫婦ともに正社員で勤務している場合は最もお金の貯まる時期です。住宅取得資金、将来子どもが生まれた場合の教育費の準備をしていく必要があります。

③第1子誕生期

収入面では妻が前職のまま共働きで働けるのか、退職し育児・家事専業となるのか、前職を退職しパート勤務などの非正規雇用で働くのかで大きく差が出ます。妻が仕事をする場合は保育園に入れる必要があり、希望条件の保育園に入れるかがポイントになります。

今までの職場を退職し、パート勤務をする場合は収入が下がります。パート勤務でも働きに出れば保育園に入る必要があり、共働きになるため、保育園費用以外に外食費の増大など支出面も増えてきます。

この時期は一般的には住宅取得費の預貯金をする時です。住宅をいつ取得するかの時期では、第1子が小学校入学前6歳頃が目標になります。小学校入学以後の転校を避けたいためです。住宅取得ではその後の月々の住宅ローン支払額を抑えるためには、頭金をより多くするために預貯金しておく必要があります。

子どもは何人作るかは人生設計で重要なポイントで、経済的に厳しくても兄弟姉妹の存在は子どものために重要なため、妻の年齢、夫の年収などからも含めて検討します。

④第2子誕生期

幼児期の子供が2人以上いる場合は、育児負担が高く妻に大きな負担がかかり、仕事を継続できるかの課題があります。妻が育児・家事専業化する場合も多く、収入ダウンの場合の収入額と家計を考えておく必要があります。

⑤第1子中学入学期

子どもを公立小学校に通わせるならば第1子が中学入学期までは公的教育費は抑えられます。私立学校に通わせるならばかなりの年収は必要になってきます。子どもの教育費では習い事や学習塾の費用が課題です。ただし、私立中学受験をしないならばこの時期ではまだ多くの教育費は支出しなくてもやっていけます。第1子高校受験では学習塾などの教育費が増してきます。受験期は経済的には厳しくなってきます。

⑥第1子大学入学期

第1子の教育費の支払い期になります。私立大学の場合の入学金、年間授業料がまとまった金額になります。医療系専門学校は履修期間3年ですが授業料はかなりの金額になります。第2子は教育費の準備期です。一般的に経済的には厳しい時期です。

⑦第1子大学卒業就職期

第1子の教育費負担がなくなり徐々に楽になる時期です。

⑧第2子大学卒業就職期

第2子も就職すれば親は教育費から解放されます。子どもの結婚資金支援の預貯金ができれば幸いです。余裕があれば老後資金対策も可能になってきます。

2.ライフサイクルと支出

① 住宅の取得時期と住宅ローン支払い

自分が何歳の時に住宅を取得するのかが課題です。住宅ローンが30年間で35歳の時に住宅を取得すれば、ローンを支払い終わるのが65歳です。現在標準的には60歳定年65歳再雇用定年です。35歳以上からの住宅ローン開始ではローン終了が65歳以上になりローン期間を短くするか、頭金を多くして支払額を抑えるか、60歳の時の退職金で残債一括返済をするなどの対策が必要です。

②教育費

教育費はかけようと思えばキリがありません。本当に子どもがやりたいもの、将来の進路に関係するものに絞り込みかけるべきです。

③その他の支出対策

支出では固定費を下げることが重要です。住宅ローンは変えられなくても、車は所有せずカーシェアリング、レンタカーなどの利用する形態に、生命保険は貯蓄型を止め掛け捨て型にすることを検討したりします。

3.ライフサイクルから見た副収入の必要な時期

1で見た通り、ライフサイクルから見た副収入の必要な時期は、子どもの生まれた第1子誕生期から、第2子以下の誕生期、そして、第2子以下の学校卒業期までです。例えば、第1子が夫が30歳の時に生まれ、第2子が33歳の時に生まれ、35歳の時に住宅を取得し30年ローンを組んだとします。住宅ローンは65歳の再雇用定年が終わる時期まで払い続け、第2子が夫が55歳の時に大学を卒業するとすれば30歳から55歳の時までが教育費も含めて支出額がかさみ、生活面が厳しい時期になります。55歳からは徐々に楽になり、60歳の定年で退職金を得て住宅ローン残債一括処理を行うなどし生活に余裕が出てきます。

30歳から55歳の時までは25年間もあり、本業の仕事が忙しくなれば副業を行うのも無理でしょう。また、昇格などに伴い給料がアップしていけば副業の必要もないでしょう。30代40代がやはり副収入が必要な時期でしょう。

収入を上げるには、妻が働いていない場合はパート勤務を頼み、大学生がいる場合は奨学金の利用をし、本人にはアルバイトをしてもらうことなどの方法があります。

年齢が30代であれば転職が十分可能な時期であり、転職により収入を上げる道があります。40代以降の転職では一定のキャリアがあれば可能性はあります。転職手段としては民間の人材紹介会社によるのが有効です。ハローワークでは好条件の40代以降の転職の求人が少ない現実があるからです。50代になれば幹部・管理職になり転職マッチング率が大きく下がります。

また、人生は予定通りにいかない時がままあります。病気や事故で退職せざるをえないような状況になったり、会社の経営状態が悪くなり人員整理になったり倒産解散になったすることもありえます。40代以降の転職では満足のいく条件の就職先がないのが一般的です。大手企業では多額の退職金が出る場合もありますが中小企業ではそうはいきません。中高年からの転職では、非正規雇用にしかつけない場合もありえます。そうなると大幅な収入減になり人生設計に大きな狂いが出ます。大幅な支出の見直しも必要になってくる場合もあるでしょう。家族全体での収入のアップ策、支出の抑制策が必要になります。何よりも家族の協力、まとまりが大切です。

非正規雇用で先行きの展望がたたない場合は、独立起業も検討する必要があるかもしれません。もちろん元手に不足がある場合は少資金で可能なことになります。固定収入がなくなると不安な場合は、妻のパートなどの勤務も必要です。

まとめ

副業はやはり本業を前提にしたものです。本業が安定していて時間がある時に有効です。本業の勤務する会社の経営が不安定な時は転職を考えるべきでしょう。ただし、転職が難しい年代やキャリアの場合は副業は重要な副収入対策です。副業の中でも汗水を垂らして働かない金融・不動産投資もありますが同時にリスクもあります。独立型の副業起業を行うにしてもリスクはありますが、副業も重要なビジネス経験と位置づけ、挑戦的精神をもって取り組んでいく必要があります。副業の小さな成功も積み上げていけば大きな自信につながります。自信がつけば起業にも挑戦していける土台になるのではないでしょうか。