将来の独立起業の可能性を追求する副業選択のポイント

独立起業はビジネスマンの夢の1つです。しかし、独立起業は簡単ではなくリスクをともないます。そのためリスクを避けるため本格的な独立起業を目的にしながらも、副業から段階的にスタートする方法が有効です。その場合、どのようなビジネス形態で、どのような資源が必要で、どのような業種・職種を選べば良いのかのポイントについて考えてみましょう。もちろん副業がうまくいけばその後本格的に独立することができます。

1.将来独立起業を目指すための副業の基本戦略

雇用形態でのアルバイトやパート、人材派遣の仕事は給料をもらう側の仕事です。起業家や経営者は人を雇えば給料を払う側の仕事です。逆の立場になります。経営はサラリーマン意識ではやれません。雇用される副業では、多くは具体的な環境を用意され、具体的な仕事を指示されて行う場合が多いでしょう。仕事自体を営業・受注する営業職の仕事は少ないでしょう。また、仕事の作業環境自体を自分で用意することはないでしょう。ワーカーの仕事は指示される仕事が中心です。指示管理するのはアルバイト、パート先の会社の社員でしょう。そのため、将来独立起業を目指すための副業の選択では、仕事上のノウハウが学べるものに絞り込むことが必要です。例えば、将来不動産仲介業での独立起業を目指す人が不動産仲介店舗でアルバイトする場合などです。

やはり請負形態での副業、小規模事業の起業形態での副業(受託ではなく自主的な製造・制作、販売、サービスを自ら行うもの)を行うことが将来独立起業を目指すための副業の基本戦略としては重要です。

2.請負形態の副業からの独立起業への発展を目指す

(1) 請負業の分野

請負業には次のような分野があります。

①製造請負

物を作る製造や制作などで、個人対象、法人対象別に各種の分野があります。

②販売請負、営業代理

販売受託や営業代理店の事業があります。マンションの販売受託や生命保険の営業代理店などです。

③施工請負

各種工事の施工を請け負います。建築や土木、設備関係など多様です。

④サービス請負

メーカーから委託を受けメンテナンスを行う、販売業者から委託を受け配送する、要介護者から委託を受け介護タクシーで搬送するなど、多様なものがあります。

(2) 請負業の副業から独立起業を目指すための注意点

請負業の副業から独立起業を目指すには次のようなポイントがあります。

①独立して生活していけるだけの収入があがること。

副業が副収入目的の場合はいいのですが、副業を本業にするには生活していける以上の売上、収入が可能でなければなりません。事業の想定される売上、利益を考えます。

②受注営業を自らしなければならないこと。

インターネットの請負形態の仕事の仲介サイトで仕事に応募して受託するのも請負業ですが、直接クライアントへ営業し受注しているわけではありません。内職関係の下職でも元請け業者からの与えられた仕事を受託していますが、営業仲介者や元請け業者からのいわゆる下請け形態ではまとまった売上を上げることは厳しく、本業として成り立つためにはクライアントへの直接営業が必要です。

③顧客の問い合わせ対応、作業、納品が常時早く行えること。

副業では対応がインターネット活用でも労働時間外になりがちなため、対応が時間的に遅れる可能性があることです。プロとして本業で行うならば営業は常識的な時間はオープンしており、顧客対応も随時早く行えることが必要です。

④売上が増えても運転資金の資金繰りができること。

仕入では当初は現金決済も必要でしょう。また、決済が個人への納品のように現金であれば問題はありませんが、法人納品であれば締日支払日が設定され、翌月以降の後払いになります。自分だけで作業する場合はいいのですが、人を使って仕事をする場合は、給料を当月の締日支払日で支払い、売り上げ入金よりも早く実行しなければなりません。

⑤仕事量が増えた場合の人手の確保ができていること。

請負業では人手のかかる仕事の分野が多くあります。注文が増えたら対応できる必要な能力や技術を持った人手を用意できなければなりません。1人シェフのレストランがありますが、飲食の集中時間に注文が重なり調理に時間がかかり、お客さんを長時間待たせれば怒ったお客さんは2度と来ないかもしれません。

(3) 請負業の利点

請負は受注型ビジネスでリスクが少ない点がプラスです。受注による数量だけ作る、受注があった場合だけサービスを提供する人材を手配する、受注があった場合だけイベント会場を提供するなどです。自主的なビジネス形態で、例えば飲食店であれば見込数で材料を仕込み下ごしらえをし、見込ほどお客さんが来なければ製造リスクが発生します。衣料品小売店であれば、季節用品を仕入れたけれど売れ残り在庫が残ってしまったなどです。また、製造でも販売でも顧客のクレームがあり、返品や値下げなどのリスクがあります。

3.小規模事業の起業形態からの独立起業への発展を目指す

小規模でも自主的な製造・制作や販売、サービスを行う事業では、通常の起業と同様一定の要件が必要です。また、副業で始めるには本業で拘束されているわけで自分だけではできないことがあります。

(1) 副業で起業を行う要件

小規模事業でも起業を副業で行うには要件があります。

①協力者がいること

自分では本業の労働時間外しか仕事ができないならば起業型の仕事はほとんど困難です。インターネットでの受注などの分野は一部可能でしょうが、多くの仕事では平日の昼間の時間の対応が必要でしょう。配偶者の協力かアルバイトやアウトソーシングで費用を払い対応することが必要になってきます。

②事業資金がいること

製造するなら材料の仕入資金が、サービスを提供する仕事で人を雇っているならば人件費を、店舗で販売するならば商品の仕入費、店舗の賃貸費・内装費・設備費などが必要になります。不動産投資事業であれば不動産の購入資金が必要になります。すべての事業で基本的に事業資金の投資が必要です。

(2) 副業でも起業で成功できるポイント

激しい競争下の市場の中でビジネスを成功させるのは簡単ではありませんが、提供しようとする商品・サービスについてポイントを整理します。

・商品、サービスの差別化5つのポイント

①低価格

他よりも安ければ競争力があります。

②独自性、個性

オリジナリティがあるもの、他にはないものであればネットショップでも売れる可能性があります。

③スキマ性

市場的には限られた人しか使わない物や市場規模が限られていて大手企業が参入してこない分野など人があまり眼をつけない分野です。

④新規性

目新しい分野です。新しい商品やサービスは人の関心を呼びます。

⑤技術性、専門性

人が簡単に真似できない技術や専門的知識が製造、サービスに必要なものであれば高い評価が得られます。

これらのポイントの1つでもあれば売れる可能性があります。自分の強みを持つためにこれらのポイントを作っていく必要があります。

まとめ

フランチャンイズでの起業案内サイトでも副業からの独立起業の紹介があります。いずれもまとまった投資資金と人手の雇用が必要です。人にやってもらえば資金がかかり少資金起業にはなじみません。少資金起業であればやはり自分がやるか配偶者にやってもらうしかないでしょう。少資金起業ではインターネットを活用したビジネスが有力です。付加価値の高い技術などの背景があれば強みです。他にはないオリジナリティのある商品を作れたり、他にはない特殊なサービスを提供できれば、成功の可能性が高いのは言うまでもありません。