ビットコインの高騰によって再び仮想通貨投資が盛り上がっています。しかしながら、仮想通貨はかなり価格の上下動が激しく、投資というより投機という人もいるほどです。
そもそも、仮想通貨がどういったものなのかを知らずに取引を行う人までいます。仮想通貨とは一体何なのか、どういう仕組みで動いているものなのかについて解説していきます。
仮想通貨の定義について
仮想通貨のはじまりは、2008年に「Satoshi Nakamoto(サトシ ナカモト)」と呼ばれる人物が発表した論文と公開されたソフトウェアと言われています。これが現在代表的な仮想通貨として知られるビットコインです。そこから2010年に仮想通貨取引所が設立し、最初の決済も行われました。2014年には日本でも仮想通貨取引所ができて、多くの人が取引に参加するようになりました。
そもそも仮想通貨は、現在存在している法定通貨とはその特徴が異なります。
コメント 法定通貨とは特定の国や地域で発行されている通貨のことです。紙幣やコインといった形で発行されています。アメリカのドルやEUのユーロが有名ですね。主に中央銀行が発行・管理しているのでその国の信用がお金の価値を決めています。
仮想通貨は、法定通貨と違って紙幣やコインが存在せず、デジタルデータのみで存在する通貨になります。特定の国等が発行していない通貨であり、中央銀行など特定の金融機関による管理や調整を受けない点も法定通貨と大きく異なるのが特徴です。
ただし、法定通貨同様、仮想通貨は通貨としての機能を持ち合わせています。例えば、何かを購入するときの決済に使われたり、誰かに送金することも可能です。
仮想通貨の仕組み
また、仮想通貨は法定通貨と異なり、独自のシステムによって通貨として機能しています。
仮想通貨は中央集権的な銀行などによって管理されていないので、ネットワーク上にデータが分散して存在しています。分散されているため、一部がハッキングによって仮想通貨のデータが書き換えられることがあっても、他のところに記載してあるデータと照合すればデータが不正に変更されたことが分かります。無数ともいえるほどに分散して記録された仮想通貨のデータを改ざんするのは現実的に無理なので、その信用によって仮想通貨の価格は決まっている部分もあります。
このデータの分散を可能としているのがブロックチェーン技術です。ブロックチェーンは、分散型台帳とも呼ばれています。仮想通貨の取引情報を暗号化し、いくつかの情報をまとめてブロック化して、鎖をつなぎあわせるように記録していきます。
このデータのブロック化とブロックごとの連鎖によって、データの改ざんを強度に防ぐことができるようになっています。
コメント 例えば、AさんがBさんに仮想通貨で100円相当を送金すると、AさんがBさんに100円相当の仮想通貨の送金を行なったこと(逆にいえばBさんが100円相当の仮想通貨を受け取ったこと)がブロックチェーン上で簡単には分からないように記載されるということです。最新の情報であればあるほどブロックチェーンの末端に記録されてつながれていく形になります。
さらに、複数データのブロックをブロックチェーンとしてデータとしてつなぐ際、マイニングと呼ばれる方法でデータの確認が行われます。仮想通貨での取引は暗号化されているので高速計算できるパソコンなどで取引に間違いがないかどうかがチェックされ、取引に間違いがないと分かるとブロックチェーンとして生成されることになります。
仮想通貨のメリット
仮想通貨は、デジタルデータなので仮想通貨をやりとりするのに銀行や銀行のATMといったものを必要としません。また海外に行った場合には現地の通貨に変更して利用する必要がありますが、仮想通貨ならば通貨の交換は不要です。
それゆえ、海外送金などの手数料を大幅に安くできたり、為替を気にせずに海外でのショッピングを楽しむことができます。
しかも銀行などを通さないのでスピーディーに送金することが可能です。個人間や企業関係なくスムーズにお金のやりとりができるのが魅力です。ウォレットと呼ばれる仮想通貨を管理するデジタルなお財布から金額を入力するだけで送金が完了します。
しかも送金履歴が残るので、金銭のやりとりにおけるトラブルを回避することができます。ビットコインであれば数十分でできますし、ビットコイン以降にできた仮想通貨であれば、数十秒で送金が完了するものもあります。
投資先としてみれば、金融機関を介在させずに取引ができるので24時間365日好きな時間に取引ができるのも魅力です。いくつかの取引所で手軽に取引でき、購入に際して数百円から投資することもできます。少額からでも投資できるのは仮想通貨取引のメリットといえるでしょう。
仮想通貨の危険性
仮想通貨はさまざまなメリットがある便利な通貨ですが、デメリットもあります。このデメリットが大きすぎるために普及に時間がかかっている側面もあるほどです。
仮想通貨のデメリットの一つは、価格の上下動が激しい点が挙げられます。特に現在は投資における取引が盛んに行われているため、株式や投資信託といった他の投資対象では起こり得ないほど変動が激しいです。投資目的で購入した後に大暴落が起きたりすることもあります。
中央銀行などが管理していないため、価格は需要と供給によって成り立ちます。それゆえ、投資で大きく売買が行われると仮想通貨の価格は大きく変わってしまうため、実際の決済手段として利用しにくい側面があります。
また、送金スピードなどが早いのが仮想通貨の良さですが、決済スピードとなると即時決済できる現金やクレジットカードに劣ります。仮想通貨はその取引がブロックチェーンに書き込まれ、取引内容の確認などを経て取引が成立するので、どうしても取引上時間がかかります。
何より仮想通貨の恐ろしいところは、ハッキングや盗難の恐れがあることです。デジタルデータでしか存在しない仮想通貨は、ハッカーなどによって最悪の場合消滅してしまう危険性があります。
日本でも、仮想通貨取引所コインチェックからのNEM(ネム)の盗難があり、大きなニュースとなりました。盗難にあったNEM(ネム)に対し、取引所から投資家に補償が出ましたが、すでに時価が大きく下がった後だったので大きな問題になりました。その後、取引所で取引ができなくなったりと取引上の混乱を招いています。
現在は、自分専用のウォレットと呼ばれる仮想通貨専用の財布で管理する人も多いですが、ネット上であれば盗難の危険性はゼロとはいえません。USBなどにデータを保存する方法もありますが、手間がかかり、USB自体の紛失などの危険性が伴うのは大きなデメリットといえるでしょう。
まとめ
現在、仮想通貨と呼ばれるものが続々と登場してきています。数年前まで全くニュースにも取り上げられなかった仮想通貨ですが、価格の変動や新たな仮想通貨について度々取り上げられるようになってきています。
そんな仮想通貨ですが、新たなものが誕生しては消えているのも事実です。まだまだ安定した取引を行うには脆弱で、日本国内の仮想通貨取引所でも、大量の取引が行われるとサーバーがダウンするなどの障害が出ています。
将来的には、さらに仮想通貨の種類は増えることが予測されています。国単位や地域単位で使える仮想通貨が流布する可能性も高いです。安全で安心して仮想通貨が使える環境が整い、自由に仮想通貨が使える時が来る日もそう遠くないかもしれません。